視聴権
視聴権とはテレビを受信障害されることなく見る権利のことで、テレビ電波は直進的で指向的な性格があるため、ビルなどにぶつかると反射、遮蔽現象を起こし、その周辺の特ににその影では画像がうすらいだり、二重、三重になったりします。これがビル影難視と言われるもので、都市部の高層ビルラッシュでこれが全国的に急増し、テレビが国民生活に密着したものであるだけに大きな社会間題になってきましたが、これまではまったく無策に等しく、わずかに日照権訴訟に付随して裁判所に待ち込まれるが、行政指導で解決する程度にとどまっており、先に成立した公害対策基本法からも、人間の健康や生活を脅かすほどではないとして除外されています。このため高層ビルによる電波障害は全て被害者と加害著の話し合いに任せられており、民事訴訟として裁判所に持ち込まれるケースも出てきているが、まだはっきりした判例は出ていません。郵政省では相次ぐトラブルの発生で、46年に原因責任主義を打ち出し、原則としてビル施工者の負担で電波障害を解消するように行政指導を行っていますが、これも法的根拠はないためキメ手に欠けるということがあり、原因責任と言っても困果関係を立証できないという不安がありました。このようなことにより48年6月、郵政省はテレビジョン放送難視歴対策調査会を発足させ、技術、法制の両面から本格的にこの問題に取り組み一応の結論を出すこととしていました。

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